最新論文から読み解くモフィウス8
- 俊行 雑賀
- 4月16日
- 読了時間: 4分
-最新研究が明らかにする肌再生のメカニズム
美容医療の世界では、効果的な肌の若返り治療法として「RFマクロニードリング」が注目を集めています。この治療法の人気の高まりに伴い、その効果を裏付ける科学的研究も増えています。特に注目すべきは、『Journal of Cosmetic Dermatology』(2024年)に掲載された最新の研究論文です。Elena Flegontova博士らによるこの研究では、RFマクロニードリング治療が肌の深部でどのような変化をもたらすのかを、実際の生検(皮膚の一部を採取して調べる検査)を通じて明らかにしています。
-最新研究で何がわかったのか?
Flegontova博士らの研究チームは、30〜40代の被験者3名と69歳の被験者1名に対し、InMode社のMorpheus8を使用してRFマクロニードリング治療を行いました。そして治療前と治療4週間後に肌の生検を実施し、顕微鏡で詳細に分析しました。
最も興味深い発見は以下の通りです:
細胞の活性化: 治療後、若い被験者グループでは表皮細胞が8.1%増加し、コラーゲンやエラスチンを生成する線維芽細胞が21.1%も増えました。
炎症の減少: 炎症細胞が若い被験者で23.5%、高齢の被験者では42.7%も減少しました。これは肌の炎症が軽減され、より健康な状態になったことを示しています。
血行改善: 全被験者において血管面積が1.7〜1.8倍に増加しました。血行が良くなることで、肌の細胞に必要な栄養や酸素がより多く届くようになります。
肌の構造強化: コラーゲン繊維の密度が25%増加し、エラスチン繊維の密度も33.3%増加しました。同時に、断片化していたエラスチン繊維が修復される効果も確認されました。
これらの変化は、肌のハリや弾力を支える土台が実際に強化されたことを科学的に証明しています。
-論文から見える意外な発見
この研究からの意外な発見の一つは、年齢による反応の違いです。一般的には、若い肌の方が治療への反応が良いと考えられがちですが、この研究では69歳の被験者が特定の面では若い被験者よりも劇的な改善を示しました。特にエラスチン繊維(肌の弾力を担う成分)において、高齢の被験者ではその密度が2倍に増加し、断片化が3分の1に減少するという驚くべき結果が得られました。
これは、年齢を重ねた肌ほど改善の余地が大きいことを示しており、RFマクロニードリング治療が中高年の方々にとって特に効果的な選択肢となる可能性を示しています。
この治療法の革新的な点
最新論文は、Morpheus8の特殊な作用機序を「三層型熱効果」と「サブサーフェシング効果」として説明しています。一般的なRF治療は肌の表面から熱を加えますが、この治療法は皮膚の深部から表面に向けて熱が広がるという逆方向のアプローチを取ります。

具体的には
針の先端から放出される高周波エネルギーが皮下組織に小さな熱損傷を作る
針(陽極)と肌表面の電極(陰極)の間でRF電流が流れることで、深部から表面に向かって均一な加熱が行われる
この「逆さまの」加熱により、表皮を傷つけることなく、真皮や皮下組織を効果的に刺激する
この独自のメカニズムが従来のRF治療や単純なマイクロニードリングでは得られない効果をもたらすと結論づけています。
-研究から見える実用的な価値
この最新研究が示すように、RFマクロニードリング治療は以下のような肌の悩みに科学的根拠に基づいた効果が期待できます。
たるみ改善: 線維中隔ネットワーク(皮下組織の支持構造)の収縮により、肌のリフトアップ効果が得られる
シワの軽減: コラーゲンとエラスチンの増加により、肌表面のシワが目立たなくなる
肌質の向上: 細胞の活性化と血行改善により、肌のキメが整い、明るさが増す
にきび跡の改善: 肌の構造再編により、陥没したにきび跡が目立たなくなる
これらの効果が一時的なものではなく、肌の構造レベルでの実際の変化に基づいているため、長期的な改善につながると説明しています。
参考文献:Correction of age-related changes in the skin at the dermal and subdermal level using radiofrequency macroneedling therapy
BIANCA CLINIC 銀座院院長 雜賀俊行
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