モフィウス8の可能性:美容医療の未来を探る
- 俊行 雑賀
- 2月8日
- 読了時間: 4分
更新日:2月21日
-はじめに

近年、肌の若返りを目的とした非侵襲的・低侵襲的な美容医療技術の需要が急増しています。
そんな中、「RF(ラジオ波)マイクロニードリング」-モフィウス8-が注目を集めています。この技術は、針(マイクロニードル)を用いた治療法とラジオ波の熱エネルギーを組み合わせた画期的な方法で、皮膚の深部に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの生成を促進できます。
本記事では、最新の研究をもとにRFマイクロニードリングのメカニズムや効果、他の治療との違いについて、専門的な考察を交えながら詳しく解説します。
-RFマイクロニードリングとは?
RFマイクロニードリング(Radiofrequency Microneedling, RFMN)は、微細な針(マイクロニードル)を皮膚に挿入し、そこにラジオ波(RF)を流して熱を加えることで、コラーゲンの再生や皮膚の引き締めを促進する治療法です。
従来のマイクロニードリングとの違いは、単に皮膚に微細な穴を開けるだけでなく、針先からラジオ波を照射する点にあります。これにより、表皮へのダメージを最小限に抑えながら、真皮層や皮下組織へ選択的にエネルギーを届けることが可能になります。
-専門的考察:RFの電磁加熱による組織変性

RFエネルギーの作用メカニズムは、ジュール熱(Joule heating)による組織の加熱に基づきます。ラジオ波は組織の電気抵抗(インピーダンス)に応じて熱を発生させ、これがコラーゲンの即時収縮と熱変性による新生コラーゲン生成を促します。
この加熱プロセスでは、65〜70℃の温度範囲が最も効果的であり、これを超えるとコラーゲン線維の不可逆的な変性が進み、最適な治療効果が得られなくなる可能性があります。
また、針の長さや配置によってターゲットとする層が変わり、以下のような作用が得られます:
浅い層(1〜2mm) → 毛穴の引き締め、表皮のターンオーバー促進
中間層(3〜4mm) → しわ・たるみ改善、コラーゲン・エラスチン再生
深部層(5mm以上) → 皮下脂肪の収縮とリフトアップ効果
このように、RFマイクロニードリングは単なる「表皮再生」ではなく、ターゲットとする層を調整することで、異なる美容効果を引き出すことができる点が大きな特長です。
他の美容医療との違い
RFマイクロニードリングは、レーザー治療や高密度焦点式超音波(HIFU)とは異なるアプローチで肌の若返りを実現します。
治療法 | 作用メカニズム | 期待できる効果 | メリット | デメリット |
RFマイクロニードリング | 針+ラジオ波加熱 | コラーゲン生成、弾力改善、毛穴縮小 | すべての肌質に適応、ダウンタイムが短い | 軽度の赤みや腫れ |
レーザー治療 | 光エネルギー | 皮膚表面のシミやシワ改善 | 表皮のリモデリング効果が高い | 色素沈着リスク(特に色黒の肌) |
HIFU(高密度超音波) | 超音波で熱ダメージ | 皮膚深部の引き締め | 痛みが少なく即効性がある | 効果はRFよりマイルド |
-専門的考察:RFとHIFUの加熱メカニズムの違い
RF:電気抵抗によるジュール熱 → 線維芽細胞の活性化&コラーゲン再生
HIFU:超音波によるメカニカルストレス → 筋膜(SMAS)の収縮&リフトアップ
RFは皮膚のコラーゲン密度を増やすことに特化しているため、「肌の質感やハリを改善したい」人向け。HIFUは筋膜層に働きかけるため、「リフトアップを重視したい」人向けといえます。
-今後の展望と課題
1. RFのさらなる進化
現在のRFマイクロニードリング技術は皮膚の深部までエネルギーを届けることができますが、より精密な制御が可能なRFシステムが今後の発展の鍵となります。例えば:
AIを活用したリアルタイム温度モニタリング
個々の皮膚状態に応じたエネルギー出力の最適化
RFと他の美容技術(レーザーやHIFU)との複合治療の開発
2. 日本人の肌質への適応
日本人はメラニン量が比較的多く、色素沈着のリスクが高いため、RFの出力調整や適切なクーリング技術が重要となります。特に、低出力で回数を重ねる施術法が適している可能性が高いと考えられます。
-まとめ
RFマイクロニードリングは、肌の若返りを目指す人にとって有力な選択肢です。
✔ コラーゲン生成を促進し、肌のハリと弾力を回復
✔ シワ、たるみ、毛穴の開き、ニキビ跡の改善に有効
✔ ダウンタイムが短く、あらゆる肌タイプに適応
技術の進化により、今後さらなる効果的なアプローチが開発されることが期待されます。
BIANCA CLINIC 雜賀俊行
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参考文献
Transcutaneous Radiofrequency Microneedlingin the Facial Plastic Surgeon’s Practice:A Review
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